《レッスンレポート》

企業式典祝辞

今回のスピーチ個人レッスンは、流通関係の企業の社長さんです。お取引先の企業の周年記念式典にて祝辞を頼まれて、スピーチレッスンのご依頼をいただきました。大きな企業の社長を務めておいでなので、今回に限らずスピーチの機会は多いのですが、人前で話すことに苦手意識を持っておられました。

苦手だけれど人前で話す機会が多い。人前で話さなければならない機会が多いのに、嫌で嫌で仕方がない。苦手だと思い込んでいる・・・・・そんな方は大変多いです。しかしほとんどの方が、練習もせずにいきなり本番に臨み、うまくいかなかったから苦手と決めてしまうのです。人前で話すことは、ほとんどの方がこれまでに練習もしたことがない、誰かに教わったこともないのです。大抵の方は、わかりやすくお教えすることで、苦手意識が確実に軽減します。

さて今回の社長さんは、大変勘の良い方でした。何を持ってして勘が良いかと言うと、まず、耳がいい。聴力(きこえ)の問題ではありません。私が言ったことをご自分の耳で聞いてそのままコピーして話すことができるのです。また、素直にやってみることができる方です。

まずはご自分で原稿を書いていただき、それをもとに練習します。書いたものを声に出して読むと「ん?何だか読みにくいぞ」とか「この言い回しは違和感がある」「この単語はカミそう」などという箇所が出てきます。その時は、言い回しを変えてみる、言葉を言いやすいものに変える、ゆっくり話す、などの調整が必要になります。人は1分間に声に出して話せる文字数は約300文字。声に出さずに読める文字数は約1,000文字だそうです。黙読(声に出さずに読む)と音読(声に出して読む)では全くスピードが違うのです。ですから、必ず声に出して練習します。

今回は100名近くの大勢の方の前でスピーチされるので、声(思い)の軌道を高く遠くにする必要があります。ボールを遠くまで投げるイメージです。「遠くまで声を飛ばそうとすると大きい声を出さないといけませんね。」とご自分で気付き、どんどん上手になっていきました。この一連のトレーニングを繰り返し行いました。

後日「本番は上手くいきました。笑いもおきたてまずまずでした。」というご感想をお聞きしました。しかしあくまでも笑いは副産物です。笑いがおきたらラッキーなのですが、笑いを求めると痛い目に合いますし、笑いを取ることが目的ではありませんので、まだ慣れない方はご注意を。そして「次は原稿を見ずに話せるようになりたいです」との意気込みもおっしゃっていました。今後が楽しみですね。