《研修》デザイン系企業にてコミュニケーション研修

クリエイティブメンバーに向けて

8月のお盆が明けてすぐ、広告制作会社にて研修を行いました。私は20年以上前、約10年間広告デザインの仕事をしていました。デザイナーとしてだけでなく、写植や製版、営業も経験しました。ですから、業界的にとても懐かしい思いでした。

今回は制作部署向けでしたので、受講してくださった方は、日頃直接クライアントと打合わせをしたり外出をすることはほぼありません。社内の営業や同僚とのコミュニケーションが主になります。私も制作者として仕事をしていたので、彼らのコミュニケーションを取るうえでの傾向が理解できます。

私は当時、他者とコミュニケーションを取ることが苦痛でストレスだった(というか、コミュニケーションの方法を知らなかった)ので、一人で黙々と制作に打ち込むことができるという理由もあって、制作のポジションを気に入っていました。もちろん全ての人ではありませんが、こういう職種の方の中にはコミュニケーションが苦手だとおっしゃる方が多いです。

彼らに必要なコミュニケーションは、大きな声の挨拶でも、笑顔の強要でも、士気を高めるためのハイタッチや、一致団結するための理念の唱和でもありません。『伝わる』ためのコミュニケーションです。

まずは、コミュニケーションの本質を知ること。コミュニケーションを取るその先にある目的を共有すること。彼らは、自分は人と違うということをよく知っています。異質であることを自覚しています。デザインなどの仕事をしていくうえでは、むしろ『人と違っていなければならない』からです。その特徴は、使い方によってプラスにもマイナスにもなり得ます。プラスに働けば素晴らしい作品が出来ますし、マイナスに働けば違うものを排除しようとしてぶつかり合います。ですから、自分と違う、もしくは気が合わない人ともお互いに傷つけ合わず共に過ごす、つまり共存していくスキルを知ればいいのです。そこがわからないと、見る側に伝わる広告は作れません。

人見知りでも社交性がなくても、口下手でも面白いことを言えなくても大丈夫です。世の中にたくさんある仕事の中で、それぞれの仕事に必要なコミュニケーションの方法は違います。20年以上も前の当時のことを思い出し、なんだかとても懐かしい気持ちになったこの日、皆さんには人の心に届く広告を制作していっていただきたいと思いました。それが彼らにとっての最大のコミュニケーションです。