《コラム》なぜカミカミはよくないの?

スピーチ講座に来られる方は、様々な悩みをお持ちです。ほとんどの方が、人前で話すことを苦手だと「思い込んでいる」わけですが、ご本人には切実です。その悩みのなかのひとつが『カミカミになる』というもの。『噛む』というのは、話している途中で言葉を噛んでしまい、上手く話せないことです。誰しも一回や二回くらいは許容範囲でしょうが、『カミカミ』となると何度も繰り返すことになり、これはいただけません。

言葉を噛んでしまうことの原因はいくつかあり、以前のコラムでもご紹介しました。原因がわかっていれば、どうすればよいのか対処法もわかります。それはまた別の機会にお話するとして、そもそも、カミカミになってしまうことがなぜ良くないことなのでしょうか。

話すことは、心の中の思いを自分以外の人にもわかる形にして、取り出すことです。また自分の思いではなくても、例えば、アナウンサーがニュース原稿を読むことも話すことです。ニュース原稿はアナウンサーの思いではなくて、起きた事実を誰かが文字に書いたものです。いずれにしても言葉を話すことは、何か伝えるべきことを伝える手段です。

その伝えるべきことを伝えようとしている時にカミカミになると・・・聞いている人が、カミカミになっている状態に気を取られてしまい、話の内容つまり本題に集中できなくなるのです。気が散るのです。だから、カミカミになることはあまり良くないことなのです。他にも聴衆の気を散らしてしまうものはいくつかあります。「え〜」「あの〜」などのムダ言葉。動く度にジャラジャラと音がするアクセサリー。顔にかかる度にかき上げる前髪・・・等々、他にも色々あります。それらは全て、集中力を削ぐ邪魔ものです。

何年か前の夏、私は素足にバックストラップのサンダルを履いて講座を行ったことがありました。その日は自分が歩く度に鳴る「ペタペタ」という足音が気になって仕方がありませんでした。それ以来、講義にサンダルを履くことはやめました。

本来伝えたいことを過不足なく伝えるために、それを邪魔する要素はできるだけなくしておきましょう。